【これからの映画はスクリーンに何を映し出していくのでしょうか】

2017年が始まりましたね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。お正月ということで、なんだかいつもより大きなテーマで書いてみたくなり、表題を掲げました。100年以上の歴史を映画はこれまでに培ってきました。映画は特に社会の未来図を先駆的に取り入れて、発展を繰り返してきたように感じます。

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歌は世につれ世は歌につれと言われた歌とは若干違い、映画は時代の先を、未来を映し出してきた、そんな側面があると感じます。

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例えば、動画のプラットフォームとして有名なDMMグループを創業した亀山氏は「バック・トゥー・ザ・フューチャー2」を観て、レンタルビデオ店はなくなると感じ、映像制作事業に乗り出したと語っておられます。

 

メグライアンとトムハンクスのW主演が印象的だった「ユー・ガット・メール」では、メールというツールが登場したことで、メールを主題にした物語が作られています。ハリウッド映画は、特に未来への架け橋となる映画を数多く製作してきたと思います。

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そうした中で今後、映画が取り込んでいく時代性の鍵はどこに存在するのでしょうか。VRなどの技術的な面と、そうした技術を使って何を描いてくのかという中身の面と、様々な点で、映画の質が問われていくように感じています。

 

製作面においては、クラウドファンディングの存在が今後も影響を与えるのではないかと思います。クラウドファンディングは、インターネットで広く協賛を集める手法ですが、資本なしでも映画を制作・配給することが可能となった点は、製作者にとって大きな原動力となります。

そして今までは作品を作ってから宣伝を行っていたのが、企画の段階で観客を巻き込み、ファンと一緒に公開まで共に駆け抜けていけるという点が魅力的です。上手に利用することができれば、小資本の映画でも社会に大きなインパクトを与えることが可能となりました。

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アメリカではクラウドファンディングで製作費を資金調達したドキュメンタリー映画「イノセンテの描く未来」(原題: Innocente)がアカデミー賞を受賞したという事例もあり、現在ヒット中のアニメ「この世界の片隅に」の事例も踏まえて考えると、日本でも定番となってきそうな印象があります。

 

中身の面に関しては、製作者が社会のどこに目を向けているかが、作品を司る物語や撮影された映像に反映されていくのだと考えています。

 

私自身は、「日常性」と「記録」というのがキーワードではないかと感じています。日常性というのは、時間のことです。なんの変哲も無い日常でも、ある人が見ればドラマチックに見えることがあり、そうした視点の違いを映画に落とし込んでいくことを指しています。特に、国や文化が違えばなおさらそうした差異が顕著であると思います。

記録というのは、シネマトグラフの生みの親であるリュミエール兄弟が「列車の到着」や「工場の出口」を製作したような、ミニマムでシンプルな発想で映画を捉えていくことが、現代において映像で何かを伝える指針となるのではないかと思います。

(ちなみに、オルケストでは上記の「列車の到着」を手掛かりに映画の本質を探求した萩原朔美監督の「ミシンと機関車」を配信中です)

そうした点で、近年製作された、想田和弘監督の「牡蠣工場」は視点がタイムリーだと感じました。

2017年、今年も数多くの映画と出会うことでしょう。そして、これからの映画はどんな映像によって、どのような物語を映し出していくのでしょうか。

【筆者プロフィール】

石原 弘之(イシハラヒロユキ)

株式会社ポルトレにて、映画配信サービスORQUESTを運営中。

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